ここでは大幅に拡大されて実施されるIT導入補助金の昨年度との違いや、特異な事業スキーム、そして「お金」の事など補助事業者がこの補助金事業の活用を検討する際に知っておきたい内容をまとめました。

Ⅰ.経済産業省H29年度補正予算|IT導入補助金について

1. H29年度は大幅に拡大されたIT導入補助金

IT導入補助金は、正式名称を「サービス等生産性向上IT導入支援事業」と言います。中小企業や小規模事業者が生産性向上のために各種の「ITツール」を導入(購入)する経費の一部を補助するものとして、昨年、経済産業省の平成28年度補正予算事業として行われました。
大変な人気を博した事業として本年も平成29年度補正予算にて大幅に拡大されて実施されることになりました。
その拡大の規模は、前年比で予算額が100億円から5倍増の500億円に、採択予定企業数は1万4,301件からおよそ10倍増の13万5,000件となっています。
ただし、1件あたりの補助金額は補助率が2/3から1/2へ、補助金の上限額が100万円から50万へとスケールダウンしています。
国としては“より多くの事業者に利用してもらいたい”との思惑からの制度変更でしょう。

  平成28年度補正予算 平成29年度補正予算
予算額 100億円 500億円
補助率 2/3 1/2
補助金額 上限100万円 / 下限20万円 上限50万円 / 下限15万円
採択件数 1万4,301件 13万5,000件
応募数 34,000件※

2. 交付申請受付も3次公募まで期間拡張

規模が拡大されたこともあって公募は3次公募まで予定されています。
4月20日の1次公募の交付申請受付開始から10月上旬の3次公募の締め切りまで応募ができます。
昨年度もそうでしたが、傾向として後半になるほど採択率が下がっていく傾向にあります。
IT導入補助金の活用を検討される事業者様は情報を知りえた段階で可能な限り早期のアクションを起こされることをお奨めします。

第2次公募
交付申請期間2018/06/20(水)~2018/08/03(金)
交付決定日2018/08/15(水)
事業実施期間交付決定日以降~2018/11/16(金)
事業実績報告期間2018/08/29(水)~2018/11/16(金)

3. IT導入補助金の特異な事業スキーム

IT導入補助金は、国が実施する他の補助金事業と大きく異なる事業の進捗スキームが注目点です。
その1点目は、「IT導入支援事業者」を日本国内のITベンダーや関連サービス事業者から厳正な審査で選定して事業を行うことにあります。
また、補助金の対象となる「ITツール」も、IT導入支援事業者が予め登録申請し、補助金事務局と外部審査委員会の審査を経て“生産性向上に資する”と判断されたツールのみを対象にしています。

2点目は、交付申請や各種報告の仕方についても特異です。他の補助金では「補助事業者」が“多忙な日常業務の合間に”様々な書類を作成して自ら申請する仕組みになっています。“不慣れな”補助金申請は多大な負担を強いられます。何ページにもおよぶ公募要領を読みこなすのも一苦労です。
一方、IT導入補助金の事業スキームでは、そうした補助事業者に代わってIT導入支援事業者が代理申請を行います。申請はすべて専用「ポータルサイト」でオンライン申請となります。
様々な様式に押印し、CD-ROMに焼き写して郵送するといったことが一切無い申請と報告のスキームです。

Ⅱ.失敗しないIT導入補助金|知っておきたい「お金」のこと

「IT導入補助金は補助率が2分の1で上限が50万円!!」
“およそ100万円くらいまでのITツールが半額で手に入る!?”

この考えは、おおよそ間違いではありませんが、実際に事業に取り組む場合には少し粗い捉え方です。事業を行うには資金の計画も必要です。返済の必要が無い補助金ですが、些細なところで思わぬ失敗とならないように、ここではIT導入補助金の活用を検討する前に知っておきたい「お金」のことについてご説明します。

① 補助金は事業費を期限内に全額支払った後に交付されます

補助金は補助事業者が事業期間内に事業費の全額を支払った後>事業完了報告>補助金交付決定>補助金交付申請の手続きを経て交付(支給)されることになります。支払額が半額で済むわけではありません。

② 事業費の支払いはIT導入支援事業者へ銀行振込で支払います。

IT支援事業者への支払いは原則銀行振込です。IT支援事業者以外への支払いは補助対象になりません。クレジットカード決済では1回払いならば辛うじて可ですが、分割リボ払いでは対象外となります。リースやローン等の利用はできないと考えておいてください。(融資やビジネスローンで資金調達して支払いに充てることは問題ありません。)

③ ハードウェアだけではなく消費税も補助金対象外です。

この補助金はソフトウェアやクラウドサービスの導入費用と保守等に係る1年分の経費が対象となります。
事業の中にハードウェアが組み込まれていることがあっても構いませんが、その費用は補助の対象にはなりません。
また、補助金は“消費税を除いた”ソフトウェアやサービスの本体価格の2分の1です。消費税はその全額を補助事業者が負担します。

④ 補助金額は上限額ばかりではなく下限額も決められています。

補助金額は消費税を除く本体価格の2分の1という補助率に加え“下限額15万円”という要件もあります。
税込324,000円以上の支払いがされなければ補助対象外となってしまうという事もお忘れなきよう。

Ⅲ.学習支援事業者向けIT導入補助金活用の勧め

新規大卒者の3年後の離職率が45.5%となっている学習塾業界は、他に比較して生産性が低い業種であります。今後も“人不足”が加速していく中で学習支援業は、テクノロジーを取り込み、「ヒト」とテクノロジーが協働する「EdTec(エドテック)」による生産性向上に取り組んでいかなければなりません。
平成29年度補正予算事業の「IT導入補助金」では数ある業種の中においても、とくにIT化を“進めていくべきである”と「その他教育・学習支援業」がリストアップされることになりました。予約管理/受付/ホームページ/スクール管理/講師管理/教材備品管理/会員管理/売上管理等の業務に役立つ各種ITツールが多くのベンダーから補助金対象ITツールとして登録されています。
塾・予備校等の学習支援事業者の方々にとっては大変な好機といえるでしょう。この機会に国の補助金という最大の支援を受けてビジネスのIT化に取り組まれることをお勧めします。